うちの素材使いませんか
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    お米(こしひかり)をつくる事になったきっかけを教えてください。
    阿蘇中央高等学校(平成22年開校・旧阿蘇高校と旧阿蘇清峰高校統合)の前身は、明治31年(1901年)に開校された阿蘇農業学校で、開校以来、阿蘇地域の農業振興と人材育成に努めてきました。明治から大正、昭和、平成、令和の現在にいたるまで、社会情勢や農業技術の進歩に対応しながら栽培を続けています。阿蘇地域の基幹作目は、水稲と肉用牛、トマト、イチゴ、アスパラガス、高冷地野菜などがありますが、水稲と肉用牛が中心をなしています。コシヒカリは、冷涼な本地域にあった品種であり阿蘇地域の主力品種として栽培されており、将来の担い手を育成する上でも、地域資源として重要な教材となるため本校においても栽培を開始しました。
    どんなお米ですか?
    農薬化学肥料を使用せず安全で安心して食べていいただける米栽培を目標にして取り組んでいます。平成8年からアイガモ栽培をスタートし、鳥インフルエンザ対策の観点から平成17年からは、雑草の生長を抑制し、除草剤を使わずに雑草の伸長・繁茂を抑えることができ、紋枯病の菌の拡大を抑制する効果も期待できるメリットから、ペーパーマルチ栽培を開始しました。有機栽培では、複数回の除草作業が必要となりますが、紙マルチ栽培により、除草作業の省力化ができています。食味へのこだわりとして、昨年のデータを参考にしながら、有機肥料に加え、微量要素にこだわり天然資材による土づくりに取り組んでいます。 また、水田の微生物や小動物など自然との共存が可能な環境保全型の栽培を行うことで、より付加価値を持つ米につながると考えています。阿蘇地域の冷涼な気候、湧水、そして、おいしいお米をつくりたいという熱い思いをもった生徒職員で栽培し、愛情たっぷりに育てた「ふっくらとねばりのある」おいしい米です。
    お米を作る上で大切にしている事はどんなことですか。
    阿蘇地域の基幹作目である水稲栽培から、農業のもつ役割を理解し、地域とは何か、食・命とは何か、それを守るためには何が大切なのかを考えることで、地域創世の一端を担う人材育成を目標としています。 また、毎年行われるコンテストへチャレンジし、本校の米が評価を受けることで、阿蘇の農業や農産物のブランド化につながるという思いを持ちながら、また、生徒が卒業後誇りを持って、安定した農業経営ができるような授業実践を心がけています。
    入学後初めて行う米栽培だからこそ、知識だけではなく技術の重要性を知り、自ら課題を解決していく力、そして、収穫し自ら栽培したコメを食べることで得られる達成感は、生徒にとって強いインパクトとなり、挑戦する意欲と態度を養う機会となっています。本校は、普通科、総合ビジネス科、農業食品科、グリーン環境科、社会福祉科の5学科を有する阿蘇市唯一の高校です。毎年、一年生全員で一斉田植え、一斉稲刈りを行っています。農業、環境、命について考え阿蘇地域の素晴らしさを見つめ直し、農業の重要性を持った視点から各分野で活躍できるような地域社会を支える人材として貢献できる力をつけていきたいと思っています。さらに、本校の魅力は、私たちの命につながる食、自然環境、福祉、経済観光を守る社会生活の中核をなす学びを実践していることです。総合選択の導入により、他学科の科目を学ぶことで、多岐にわたる進路選択につながっています。農業から命や地域社会や文化の継承について理解を深めていくことを念頭においています。
    苦労したことはどんな事ですか。
    年々変容する気象の変化、台風、長雨、渇水、その時々での環境変化への対応が難しくなってきています。  また、ペーパーマルチで除草は軽減できていますが、完全ではありません、除草剤を使わないため生徒全員での除草実習は大変なことです。昨年は、周辺の水田はウンカの被害により、6割~7割が被害を受けており、被害を最小限にするための対応など苦労しました。水田が一番下流になり、代かき時に水が不足しその確保は、毎年大変な管理の一つです。毎年生徒にとっては初めての水稲栽培チャレンジが続きます。生徒の状況も違いますが、収穫をむかえ全員で喜べる瞬間はひとしおです。苦労することもまた、大きな財産となっているように思います。おいしい米、安心安全な米づくりをどうしていくのか、毎年大きな課題となっていますが、ご購入いただいている消費者の方々からの温かい手紙などが励みになっており、生徒たちへの自信につながっています。
    お米づくりを続けていく事でどんなことを期待していますか。
    農業の基本である水稲栽培を通して農業のもつ役割を理解し、地域とは何か、食とは命とは、それを守るためには何が大切なのかを考え、地域の活性化に取り組む次世代を担う若い世代の人材育成につながることを期待しています。農業の魅力を伝える活動として、コンテストへのチャレンジと各機関との連携を図り魅力アップにつなげ、後継者不足や少子高齢化が加速している中、農業と各種業界による地方創世の一貫となればと思います。  現在の活動を通して、日本全国から多くの人が農業を学ぶ素晴らしい環境にある阿蘇に学びの場を求めてくることになればと願っています。