うちの素材使いませんか
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    前田様のつくられている釜揚げしらすとはどんな食材ですか。
    とてもシンプルな食材ですが、様々な料理にも合い、主演も脇役もこなし、小さなお子様からお年寄りまで美味しく安心してお召し上がりいただけます。
    また、美容や健康食としても期待の出来る『ヤバい集団』ですね。釜揚げしらすで使用するのは、水・塩・しらす、そして塩湯で茹でる。たったこれだけです。
    …『たったこれだけ』だからこそ奥が深く難しいんですよ。
    もちろん使用する水・塩・しらすにはこだわりがあります。まずは水、世界遺産でも有名な高野山があります紀伊山地から流れる有田川の伏流水を使用しています。次に塩、塩はしらす本来の旨味を引き出し、塩味のバランスを整えるため、二種類の塩をブレンドし使用しています。
    そして最後にしらすですが、和歌山のしらすは海の栄養分だけでなく、山の栄養分も豊富にうけ、しらすが持つ脂と旨味のバランスが非常に良く、良質なシラスへと育ちます。
    その中でもより良質で新鮮なシラスを厳選し、前福がこれまで培ってきました150余年の伝統と経験を活かし、一つ一つ丁寧に仕上げます。しらすの大きさや種類など状況によって塩加減や茹で加減を変え、そんな当たり前なちょっとしたことの変化が、とても大事ことなんです。自分で言うのもなんですが、本当に美味しいので、沢山の方に食べてもらいたいですね。
    釜揚げしらすを販売する事になったきっかけを教えてください。
    弊社『前福』があります和歌山県湯浅町は古来より漁業が盛んな地域で、漁に用いる網の技術が非常に優れており、その技術はやがて日本全国に広まり日本漁業の発展に貢献したと言われております。また熊野古道の宿駅として栄えた宿場町で、活気であふれる町でもありました。
    そんな湯浅町で150余年も前の話になりますが、『前福』創設者であります『前田福松』の父『前田十助』が漁業の盛んなこの湯浅の地で『釜揚げしらす』を造り販売したのが始まりです。
    なぜ『釜揚げしらす』だったのか…単純に『しらす』が沢山獲れたからなのか…それとも、自分の造る『釜揚げしらす』に自信があり、その美味しさを沢山の方に伝えたかったのか…その理由はわかりません。
    ですが、150余年経った今も沢山の方に食べて頂き、沢山の嬉しいお言葉を頂きます。
    今もしらすを造り続ける理由とすれば、そういうお客様との嬉しい繋がりがあるからですかね。
    もちろん代々受け継いできた伝統を後世に繋いでいく使命感もありますし、前福のしらすをより多くの皆さんに食べてもらいたい思いがあります。
    これからも釜揚げしらすを通じて繋がるお客様と前福の『結び』を大切にしていきたいです。
    そして創設者の父である『十助』の意思は、今も前福の屋号に『十』の文字で刻まれ受け継いでおります。
    釜揚げしらすを販売する上で大切にしている事はどんなことですか。
    先代達が築き上げてきた信頼やブランドを崩すことなく守るものは守り、また新しいことにチャレンジし新しい前福としてバージョンアップしていく事です。それと、お客様が喜んでくれる姿を想像する事ですね。例えば『このシラス食べたら美味しいって喜んでくれるんやろな~』とか想像しながら釜茹でしてます。(笑)お客様が喜んでくれる姿を想像しながら商品造りをすることが大切です。
    また、ただ単に商品を販売するのではなく、お客様の要望や思いを聞くなど、お客様とのコミュニケーションも大切にしています。
    苦労したことはどんな事ですか。
    しらすの良し悪しを見極める目利きを覚えること。釜揚げしらすの釜茹でです。これは現在主流になる自動釜ではなく、昔ながらの手炊き製法です。創業以来守り受け継がれてきました天日干し製法と乾燥の見極めです。それと、時代が変化するスピードはとてつもなく早く、時代の変化やニーズに対応したスピーディーな進化が求められる中で、古き良きを継承し守り伝えることの難しさを実感しております。
    これからはどんなことを(釜揚げしらすで)期待していますか。
    今後の目標として、これからの未来を担う地元の子供たちに『しらす屋前福』を通じて地元の歴史や魅力、
    また地元で働く楽しさや、素晴らしさ、自分たちの町には、誇らしく自慢の出来る仕事が沢山あるんだということを伝えていきたい。そして将来、その子供たちが地元で活躍できる環境を僕たちが創らなければなりません。年々減っている人口減少の問題や、担い手不足など事業承継問題といった様々な問題があります。僕たちは10年、20年先の未来をしっかりと見据え、持続可能な開発目標(SDGs)などの取り組みも積極的に行い、今やれることを一歩ずつ着実に実行し前に進んでいきたいです。生まれ育った故郷への恩返しも込めて、これからの子供たちの育成や地域の発展に貢献したいと思います。釜揚げしらす(前福)を通じて、繋がる数々の出会いは、前福にとっても僕自身にとっても大きく成長させてくれる大切な存在であり、宝物と思っています。そういった繋がりから生まれる『新しいしらすのカタチ』、『新しい前福のカタチ』どのように変化(進化)していくのか、ワクワクしながらこれからも繋げていきたいと思います。